介護業でICTを活用する際のメリットやポイントを解説

介護業でのICTの活用は、業務効率化や生産性の向上などさまざまなメリットをもたらします。
本記事では、介護業でICT活用することで得られる3つのメリットと、ICTを導入する際に気をつけておきたいポイントについて解説しています。

目次

介護業は⼈⼿不⾜

介護業界では人手不足が深刻化しています。厚生労働省によると、このままでは、2025年には約38万人の介護人材が不足すると推計されています。

また、公益財団法人介護労働安定センターが実施した「令和3年度 介護労働実態調査結果」によると、労働条件・仕事の負担についての悩みや不安、不満等に関する質問に対し「⼈⼿が⾜りない」と感じる人が52.3%で最も⾼く、次いで「仕事内容のわりに賃⾦が低い」が 38.3%でした。

このことから、介護現場で働く5割以上の人が人手不足について悩み、4割近くの人が仕事量の多さや業務内容が給料と見合ってないと不満を持っていることがわかりました。

こうした課題を解消する有効な対策として期待されるのが、介護現場でのICT活用です。
ICTを活用すると、働きやすい職場環境を整備できるとともに、介護人材の定着や離職防止が期待できます。

関連記事:「定量的データから学ぶ介護⼈材不⾜の原因と対策」

介護業界では人手不足が深刻化しています。厚生労働省によると、このままでは、2025年には約38万人の介護人材が不足すると推計されています。

また、公益財団法人介護労働安定センターが実施した「令和3年度 介護労働実態調査結果」によると、労働条件・仕事の負担についての悩みや不安、不満等に関する質問に対し「⼈⼿が⾜りない」と感じる人が52.3%で最も⾼く、次いで「仕事内容のわりに賃⾦が低い」が 38.3%でした。

このことから、介護現場で働く5割以上の人が人手不足について悩み、4割近くの人が仕事量の多さや業務内容が給料と見合ってないと不満を持っていることがわかりました。

こうした課題を解消する有効な対策として期待されるのが、介護現場でのICT活用です。
ICTを活用すると、働きやすい職場環境を整備できるとともに、介護人材の定着や離職防止が期待できます。

介護業でのICT活⽤のメリット

実際に介護業界でICTを活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、具体的な例をあげて解説します

介護業でのICT活用のメリットは以下の3つです。
1:事務作業の削減
2:スムーズな情報共有・連携
3:データ活用における質の向上

事務作業の削減

介護現場でのICT活用は、記録や書類作成などの事務作業が削減できるというメリットがあります。

介護現場では介護業務以外にも日報や介護記録、請求管理などさまざまな事務作業があり、
これらの事務作業を手作業で進めると業務時間内に終わらないため、残業をするスタッフも少なくありません。

また、残業がつづくとストレスや疲れがたまるなど職員の負担が大きくなってしまいます。

そこで、時間をとられる事務作業にICTを活用すると、事務作業にかかっていた時間を短縮させられるとともに、職員の負担を軽減できます。

例えば、持ち運べるタブレット端末やスマートフォンを使うと、場所や時間を問わずに事務作業が行えます。また、データ転送の機能を持つ体温計や血圧計、音声入力ができるデバイスなどを使えば手作業で入力する手間を省けるはずです。

スムーズな情報共有・連携

スタッフ間や事業所間などと情報の共有や連携がしやすくなることもメリットのひとつです。

例えば、在宅サービスを利⽤する際には、ケアマネージャーが介護サービス事業者に利用者の情報を郵送やファックスで送ったり、電話で空き状況を確認したりしなければならず、その作業に多くの時間をとられてしまいます。

また、紙媒体による情報共有は、報告の漏れや関係者全員に情報が行き渡らないこともあり、他職種や他事業所との認識に差が出ることもあります。

関係者間でスムーズな情報共有や連携が図れないことは利用者に不利益を与え、事業所の信頼を失うことにもつながるでしょう。

一方、ICTを活用していれば、情報がデータベース化されるため、スタッフ間や事業所間での情報共有が簡単になり、認識のずれや伝え忘れのミスが少なくなります。また、迅速な連携が可能となるため、業務の効率化も期待できます。

データ活用における質の向上

ICT化はデータ活用における質の向上にもつながるというメリットもあります。

介護現場では日々の記録や事故・ヒヤリハット報告などの利用者の様子に関するデータが毎日蓄積されています。

これらが紙のデータであれば、ファイルなどでまとめられた多くの書類から必要なデータを取り出して手作業で分析しなければならず、情報の見落としや時間もかかってしまいます。

しかし、ICTを活用すると利用者のデータをデジタル化して保存し、関連したデータと組みあわせて分析できるようになります。そして、分析したデータによって科学的根拠に基づく質の高いケアにつながります。データ活用による質の向上は、事業所にとって大きなメリットになります。

ICT化におけるポイント

ここでは、ICT化を進める際に注意するポイントを解説します。
以下のポイントを押さえると、介護現場のICT化を成功に導くことができます。

・本質的な課題を定義する
・解決したい目標とゴールを設定する
・業務プロセスの⾒直しを行う
・利⽤できる補助⾦の確認

以下で詳しく解説します。

本質的な課題を定義する

介護事業にけるICTの活用は単なる手段であり、本当の目的は現場のさまざまな課題を解決し、業務の効率化や職員の負担軽減、利用者の満足度を向上させることです。
そのためには、ICTの導入前に現場の本質的な課題を定義する必要があります。

具体的には、日々の業務内容や仕事の流れを見直し、現場の課題を拾い出していくと良いでしょう。

介護現場の本質的な課題を定義しておかなければ、ICT化を進めても何も効果が得られない可能性があります。

解決したい目標とゴール設定が必要

本質的な課題の定義ができたら、次は解決したい⽬標とゴールの設定を⾏います。
現場の課題を解決するための⽬標と達成するゴールを設定することは重要です。
もし、ゴールが達成しなかった場合には何に問題があったのか、ツールを使う人の問題か、ツールを変えた方がいいのか、などと分析することで目標の達成に近づけます。

業務プロセスの⾒直しを行う

ICT化を進めるには、業務プロセスの見直しも必要です。

ICT化によって効率化されるのは、既存の業務プロセスの全体ではなく一部分です。

全体の業務の一部分を効率化することによって、不要となる作業が出てくるため業務フローを組み直す必要が出てきます。

また、業務フローの見直しによってこれまで当たり前に行っていた現場のやり方を変更しなければならなくなります。

ICT化を進めることでツールを使いこなせないスタッフから反発や、それに伴う現場のモチベーションの低下が起きるかもしれません。

介護現場でICT活用の効果を高めるためには、業務プロセスを見直すとともに、現場スタッフに導入の目的やメリットを伝え、使いこなせないスタッフのサポートが求められます。

利⽤できる補助⾦の確認

厚生労働省は、介護現場のICT化を進めるため「ICT導入支援事業」を行っています。この制度を利用すると、タブレット端末や介護ソフトの購入費用などを対象に補助金の交付を受けられます。

ただし、補助要件や事業所規模に応じた上限額が設定されていますので、詳細は実施主体である都道府県のホームページで確認してください。

ICTを活用して介護業務の効率化と現場の生産性を高めることは、職員の負担を軽減するとともに、サービスの質の向上につながります。
これからICTの活用を検討されている方や、ICT化を成功させたい方はぜひ本記事の内容を参考にしてください。